【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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566:名無しNIPPER[saga]
2019/01/19(土) 06:53:30.63 ID:PkqqzrqU0
大広間の隅に叩き込まれた仮面の騎士は、辛うじて一命を取り留めはしたが、傷は極めて深く、意識を失うのには十秒とかからないはずだった。
だが不死の肉体は強く、仮面の騎士のエストは一滴たりとも失われてはいない。


ダガッ!


あるだけのエストを全て飲み、仮面の騎士が負傷を完治させると同時に、竜狩りは霧を抜け出した。
遠くから響く、石を叩いたような衝撃音を聞いて仮面の騎士は歯噛みしたが、悔しさはすぐに忘れた。
二兎の片方が手に入った。その事実を仮面の騎士はせめてもの幸運に思ったのだ。


父の仮面「大鎚も持たずに飛び込んでくるとは思わなかった。初めての経験だ」


スモウ「………」


バッ!!


仮面の騎士は大仰な独り言を呟くと、スモウに向かって床を蹴った。
その脚は確実に石床を蹴り、正しくスモウへ近づいてはいる。
だがスモウの眼には、現れては消えるを繰り返しつつ接近する、剣すら構えぬ仁王立ちの仮面騎士の姿が映った。


ブオォン!!!


その奇怪な挙動を示す騎士が剣勢域に入った瞬間、スモウは剛拳を騎士の頭に振り抜いた。
だが、仮面の騎士の頭を貫通した拳には、一切の手ごたえが無かった。


ドガッ!! ガキィッ!!


仮面の騎士はスモウの両脚に特大剣を叩き込み、怯ませ、スモウの足捌きを封じた。
巨体を誇る者は、巨体であるが故にそれを支えるものへ頼る。


父の仮面「コブラを逃し、エストも空とは。いい教訓になったよ」


人界の戦における巨躯殺しの鉄則は、神に対しては全く通じないが、それは人界における人のための鉄則である。
決して滅びぬ肉体に、神の聖遺物に鍛えられし武具を備え、尽きることのない暗き欲望を宿した時、人は鉄則を砕き、神同士の戦いの域に踏み入るのだ。


バギィッ!!


竜狩りの槍さえも鍛えたという原盤に力を得たグレートソードが、スモウの胴鎧を食い破り、確かな感触を仮面の騎士の両腕に伝えた。
スモウは両膝をつき、頭を垂れる。その頭を、傷口から溢れる太陽色の輝きが照らした。


ガシッ

父の仮面「……往生際が悪いな」

ゴオッ!!


だが深傷を負ったからと、誓いし使命を棄てるなどという恥を、スモウは認めなかった。
自身に打ち込まれた特大剣を右手で掴み、仮面騎士の胴へ左の拳を見舞う。
だが拳はやはり仮面騎士の胴を透り抜け、風を切った。


父の仮面「………」スッ…


仮面騎士はグレートソードを手放し、背中からクレイモアを抜くと…


バギッ!! ガコッ!! ベキッ!!


大剣を上段に構え、スモウの頭を滅多打ちに斬りつけた。
幾度も幾度も加えられる重打に、スモウの兜はヒビ割れた岩のように歪み…


ゴシャッ!!


脳天に叩きつけられた一撃に遂に敗れ、大きく凹み、太陽色の光を漏らす。
漏れた光はスモウの全身各部位からも漏れ、一つとなり、大きな輝きとなってスモウを包んだ。
そして輝きは弱まり、霧散し、仮面の騎士に吸われると、後には塵のひとつも残しはしなかった。


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