54:名無しNIPPER[saga]
2016/09/16(金) 22:36:01.22 ID:arCyxKGf0
鐘楼の上部に鎮座する魔除けの銅像から、砂埃が零れ落ちる。
砂埃は風に削られ、微細な物は風に流され、粒状の物はそのまま落ち、コブラの頭に降った。
鐘楼の入り口には濃く、そして岩のような硬さを予感させる霧が張られ、奇妙な鎧を着た騎士を隠した。
コブラ「あーあー。あの一文を盗んで以来、どうも後手後手に回るなぁ」
グギャアアアアアアアアア!!
鐘楼頂上からけたたましい咆哮が響く。
コブラとレディは鐘楼から離れ、瓦屋根の中心まで後退する。
ガシャーン!
直後、コブラが元いた場所に巨大な青銅の怪物が落下した。
ガーゴイルと呼ばれるからには、怪物は退魔の役割を仰せつかっているはずだが
その外見は、むしろ忌まれるべき怪物のそれであった。
コブラ「レディ、あの化け物が俺に夢中になり始めたら、ヤツの背後に回り込め」
レディ「OK、コブラ」
鐘のガーゴイル「グエエエアアアアアア!!」ドガッ!
翼を羽ばたかせ、瓦を蹴散らして、ガーゴイルは飛び出す。
コブラは素早く瓦屋根に張り付くようにしてガーゴイルの突撃を潜ると、その場から飛びのいて体勢を立て直す。
コブラ「やかましいヤツだな。翼の生えた化け物はみんなこうなのか?」
ブン!
コブラ「おおっとぉ!」サッ
ブン!
コブラ「おっほっほー」ピョン
ガキーン!
ガーゴイル「グオオオオオオ…」
コブラ「カマーン!俺を捕まえる気ならもっと真面目にやらないとなぁ!」
ブワァッ!
コブラ「飛んだか!」
攻めあぐねたガーゴイルは、一気に決着する事を狙った。
翼を広げて高く飛昇すると、手に持つハルバードを掲げ、コブラに向かって突撃する。
しかし、コブラは動かなかった。
ズガアァーーッ!!
ガーゴイルはコブラに突撃すること無く、錐揉みに回転しながらコブラのすぐ右横に墜落した。
コブラ「まぁ、真面目にやり過ぎるのも考えものだがな」
高速で飛行する物体は、他方向からの妨害に弱く、少しの衝撃で容易くその軌道を逸らす。
浮力を生み出す動力に穴を開けられれば、軌道の維持はより困難を極める。
レディ「こんなものかしら?コブラ」
ガーゴイルの翼膜は薄い青銅で出来ており、経年劣化もあってか、その強度はかなり脆い。
それを貫くには、瓦の一枚でもあれば事足りた。
コブラ「上々だよレディ」
そう言ってコブラはポケットに手を突っ込んだが、その顔は調子のいい笑顔から落胆の顔に変わった。
ポケットにはライターがあれど葉巻は無い。葉巻が無いことはこれほど虚しい事なのかと、コブラは痛感せざるおえなかった。
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