539:名無しNIPPER[saga]
2018/11/16(金) 04:17:49.51 ID:KNjYn5HK0
一際強烈な閃光に、部屋にいた者はコブラを除いて一様に怯み、不死などは背を丸めていた。
そして輝きが収まり、部屋に再び暖かな太陽の光が射し始めた時、早くに怯みから回復したオーンスタインが部屋を見渡した。
オーンスタイン「下郎め、逃げたか!」
部屋の中央には、幾らかの煌びやかな小片が散らばっている。
しかしそれらはクリスタルボーイの全身を構成するには少なく、かの者の黄金色の骨片も含んでいない。
バギッ!! ダダァーーン!
固く閉ざされていたはずの両開きの扉も、スモウの怪力によって引きちぎられ、倒れた。
グウィンドリン「器は持ち去られたか…あの者の気配も無い…」
オーンスタイン「しては、奴はすでにアノール・ロンドの外に?」
グウィンドリン「左様…うっ…」
オーンスタイン「グウィンドリン様!?」
グウィンドリン「いや…大事ない…先の光に傷は癒されている。力を吸われ、ややふらついているのだ」
レディ「コブラッ!」
グウィンドリン「!」
コブラは不死達に囲まれ、レディに抱き上げられているが、呼ぶ声には反応を示さない。
意識を失っているのだ。
ビアトリス「コブラ…今度はどんな無茶を…」
ジークマイヤー「し…死んではおらんのだろう?」
レディ「ええ、生きてはいるわ。でも…今彼に何が起きているのかは…」
グウィンドリン「………」
その昏倒しているコブラを見つめ、グウィンドリンは逡巡し、だが決心した。
護るべきものを奪われ敵を逃したとあれば、今この場で優先されるべき選択はひとつ。
敵を唯一退けた者を護ること。それはいかなる痛みと引き換えにしても余りある行いだった。
黒い外套の男の正体は知らず、しかしその灯火に纏わりつく影が如き執拗さと周到さを知るグウィンドリンは、予見したのだ。
負けるはずのない戦いにおいても、敗北を喫した場合の含み針は決して軽んじはしない。あれはそういう者なのだと。
グウィンドリン「四騎士の長とその従者、処刑者に命ずる」
オーンスタイン「!」
スモウ「!」
グウィンドリン「使命に挑みし者達と我が命を追手より護り、この死地を切り抜けよ」
ジークマイヤー「試練に挑みし…えっ?」
ビアトリス「かっ…神たる皆様方が、我々を護ってくださるのですか!?」
グウィンドリン「そうなるだろう。だが多くを望むな。これは決して我らからの恵みではないということを心せよ」
レディ「………」
グウィンドリン「これよりアノール・ロンドを放棄し、暗月の火防の元へ逐電する。その火の元にコブラを休め、暗黒神へと抗する術を探るのだ」
グウィンドリン「我が月と我が太陽に、そして我らに炎の導きがあらんことを」
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