531:名無しNIPPER[saga]
2018/10/31(水) 05:58:54.46 ID:DRMKFrEu0
ドゴオオォーーッ!!!
ジークマイヤー「オッ、オオオーッ!!」
ビアトリス「うわあああっ!!」
レディ「くっ…!」
クリスタルボーイが高らかに暗黒の支配者の名を叫ぶと、クリスタルボーイを中心として黒い嵐が吹き荒れた。
黒い嵐は暗紫の輝きを掻き消して部屋中を掻き回し、壁の装飾や石床などを尽く腐らせて塵へと変える。
不死達とレディは、発生した暴風に飛ばされないよう身を屈めて耐えた。
そんな中、嵐に耐えるコブラとオーンスタインは見た。
邪悪なる者はクリスタルボーイが纏った暗紫の輝きではない。
黒い嵐に映る、嵐よりもなお暗い影だったのだ。
オーンスタイン「暗黒神……アーリマンだと…」
嵐に映るクリスタルボーイの影は、天井にまで聳える冒涜的なまでに邪悪な二枚の竜翼を背中に備え、生きる者全てを突き殺さんと欲するような一対の角を頭に生やしていた。
影の顔部分には、クリスタルボーイの物と同じく表情は無い。だが暗黒の支配者は確かに笑っていた。
これから消え逝く命たちが己の血肉となるという、素晴らしき未来を見ているのだ。
ガッ!
コブラ「! オーンスタイン…!」
竜狩りオーンスタインは片膝をつき、槍の柄と左手で身体を支える体勢をとった。
絶望に屈したのではない。闇に蝕まれ、力を失いつつあるのだ。
ドサドサッ
レディ「!! ダメよ!耐えるのよ!」
コブラの背後で、何者かが二人倒れた。
レディの声と不死達のうめき声を聞く限り、倒れたのはジークマイヤーとビアトリスだ。
グウィンドリン「…オーンスタイン…貴公だけでも…」
グウィンドリン「のが……れ……」
意識を失ったジークマイヤーの腕の中で、グウィンドリンの声が嵐に消え入る。
竜狩りは槍を支えに重々しくも立ち上がり、槍先を嵐の発生源であるクリスタルボーイへと向けたが、槍を握る右腕からは力が消え…
ドシャアアッ
槍を構えたオーンスタインからもまた、活力が消えた。
コブラ「くっ……うおおーッ!!」シャッ
ガオオオーーン!!
せめて嵐を撃ち消そうと、コブラはあらん限りのサイコエネルギーを放った。
だがサイコガンは銃口に小石を詰められた水鉄砲のように、か細いエネルギーを四方に拡散させただけだった。
貪欲なる闇の嵐が、あらゆる力を欲するのである。サイコエネルギーさえも例外では無い。
ドウッ
背後にいる何者かが石床に伏せった時…
コブラ(…レディ…)
コブラは失われゆく意識の最期、石床の冷たさを頬に感じながら、背後で伏した者を想った。
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