527:名無しNIPPER[saga]
2018/10/29(月) 06:40:42.58 ID:esH2C6LI0
ババッ!
すぐさま体勢を立て直したオーンスタインは、しかし動けなかった。
討つべき敵の立ち姿には数多くの死角を見出したが、どれも活かしようが無い。
神の世の始まりから武によって立身してきたからこそ、竜狩りは先の渾身の一撃すらも無意味だったことを看破してしまっていた。
コブラ「アップグレード、か。その割にはお前の対策とやらも手垢が付いてるぜ」ザッ…
だが、無敵とも思える敵へと、無造作にコブラは特大剣を構えた。
レディ「!? そんな剣、今のクリスタルボーイには通じないわ!」
シュサッ
グウィンドリン「!」
視線さえも分からぬクリスタルボーイの意識が一瞬コブラに向けられたことを、オーンスタインは敏感に察知。
竜狩りは再びグウィンドリンを抱えると…
グシッ
出口近くで立ち尽くす不死の一人に押し付けた。
ジークマイヤー「!? 」
ビュウン!
敵対していた者から敵対者の君主を受け取り、困惑するジークマイヤーの元へ、黄金の鉤爪が伸びるが…
オーンスタイン「ハッ!!」ガイィン!!
その鉤爪は竜狩りの振り上げた槍に弾かれ、クリスタルボーイの手元に戻った。
数瞬のうちに起きた多くの事に、未だついていけていないジークマイヤーは、交互にビアトリスとオーンスタインを見る。
しかしビアトリスも同様に、事態の急変に対応できていない。例え行けと言われたとしても、何処へ行くべきかも分からないのだ。
オーンスタイン「此処より逃れよ!!スモウが貴公らを守る!!そのお方を死なせてはならん!!」
だがジークマイヤーの眼に、クリスタルボーイの前に立ちはだかって十字槍を中段に構える戦神の後ろ姿が映った時、ジークマイヤーはあるべき騎士道を神の背中に見出し、心身の麻痺から覚醒した。
ジークマイヤー「お、お任せを!行くぞビアトリス!」ダッ
ビアトリス「ぁ、ああ!」ダッ
重傷を負ったグウィンドリンを抱えたジークマイヤーは、部屋の外にいるスモウへ負傷者を預けるべく駆けたが…
ダァン!!
ジークマイヤー「うっ!?」
スモウ「!?」
両開きの扉はそれを許さなかった。
閉鎖された出入り口は一山の岩の如く硬くなり、紙細工のように人鎧を丸める事ができるスモウの膂力を以ってしても、隙間さえ空かなくなった。
クリスタルボーイ「手垢が付いてると言ったな、コブラ」
クリスタルボーイ「ならば貴様に教えてやろう。手垢にまみれた奥の手の、本当の恐ろしさというやつをな!」
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