41:名無しNIPPER[saga]
2016/09/16(金) 05:05:34.35 ID:arCyxKGf0
亡者と化した騎士達の剣勢をすり抜け、打ち倒し、飛び交う矢をかわしつつ、コブラがやっとの思いで滑り込んだ廃墟の中には、白い髭を蓄えた筋骨隆々な男がいた。
その男はコブラ達を招き入れ、篝火の側まで案内すると、煤にまみれた掌をすりすりと擦り合わせて煤を払い落としつつ、決めた誰かに言うわけでもなく喋り始める。
アンドレイ「外にいる亡者どもは誰彼構わず襲うが、此処までは来ねえんだ」スリスリ
アンドレイ「きっとこの火が大事なんだろうなぁ」スリスリ
ソラール「………」
アンドレイ「あんたらも不死の使命を知る為に来たんだろうがよ。あの教会の鐘を守ってるのは、牛野郎どころじゃねえ化け物だ」
アンドレイ「二本の剣と一枚の盾、それに全身鎧二着と素手じゃ、分が悪いってもんだぜ」
アンドレイ「俺はアストラのアンドレイ。ここで鍛冶をやってるんだが、どうだい」
アンドレイ「ここで武器を一式揃えるってのは」
アンドレイと名乗る男の提案に、ソラールの緊張した雰囲気が少し和んだ。
しかし、コブラは眉を潜めて自嘲し、両手をズボンのポケットに突っ込むと…
コブラ「せっかくのお誘いもありがたいんだが…」
アンドレイ「なんだ、どうした?」
コブラ「あいにく今は無一文でね。鼻毛一本ありゃしないんだ」
ポケットの内側をひっくり返して、ポケットの中の埃を床にパラパラと落とした。
ここの通貨単位を知る者はアンドレイを除いておらず、そもそも通貨があること自体、コブラには疑わしかった。
だが正に、予想を超えた返答が来て、コブラは困惑する。
アンドレイ「ウワッハッハッ!何言ってんだアンタ、ここでは金なんかよりソウルが大事なんだぜ?」
コブラ「ソウル?」
アンドレイ「ああ。不死人なら常識だと思うが、飯も睡眠もいらないかわりに、不死は何もしないでいるとソウルと人間性が枯れちまう」
アンドレイ「だから不死人同士の取引はソウルでやるんだ。ソウルがあれば亡者にもなりにくく、人間性も留めておける」
アンドレイ「まさか知らずにここまで来たわけでもないだろうが……そんな調子だとアンタ、鐘を鳴らす前に亡者になっちまうぞ」
コブラ「亡者ねえ…確かに、あんな老け顔になるにはまだ早いかな」
コブラ「ま、不死じゃない俺には関係無いことだがね」
アンドレイ「なに?」
レディ「私と彼は不死じゃないわ。私達の中で不死はソラールだけなの」
ソラール「その通り。亡者になるとしたら、俺だけだ」
アンドレイ「………」
アンドレイ「そ…そいつは驚きだ…」
アンドレイ「どうやってロードランに来た?不死人以外に巡礼が許されるなんざ稀にも稀だろう?」
アンドレイ「それにもし来れたとしても、とうに竜に焼かれてるだろうに…」
コブラ「その竜なんだが、多分もう出てこないだろうぜ。焼き鳥にして食っちまったからな」フフッ
アンドレイ「!?」
ソラール「貴公、嘘は良くないぞ」
コブラ「冗談だっつうのにもぉー、シャレが通じないってのは損するぜ?」
ソラール「むぅ…」
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