【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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333:名無しNIPPER[saga]
2018/01/19(金) 03:54:45.17 ID:MTllhXRC0

「!」

神々の国、その偉大なる神殿の守護神は、微かに、しかしありありと異質と分かるものを感知し、頭を上げた。
多くの神秘と栄光、そして悲劇を神々と共に歩んできた、大聖堂とも言うべき大広間には、白い象牙とも大理石ともつかぬ柱の森が間隔を空けて広がる。
それらは壁一面に並ぶ装飾窓からの光を受け、白く輝き、彼の黄金の鎧を照らし、まどろみを見せていた。
大広間の中央で手に持つ得物を石床に突き立て、意識を閉ざし、彼は時の到来を待っていた。

そして時は満ち、まどろみは晴れたのである。

神殿の守護神は、今の己が支える主神を思う。
太陽の王と、暗月の姫君に思いを馳せ、それにより行える業を行使して、己の実体を主の元へ帰す。
そして王の間へと続く、神聖かつ不可侵な廊下の始まりへと姿を現し、遠くに揺らめく主君へ向け跪き、報を伝えた。


「不死が来てございます」


報を受けた主は数瞬の沈黙のあと、守護者へ静かに語りかけた。
その言葉はささやきだったが、守護者の眼の前に声はあるようだった。


「承知している」



「しかし、異なる者も…」



「語るに及ばぬ。我にも視えている」

「成すべきことを成すがよい……だが心せよ。あの者達の一人は、人であり人ではない」




「………」




「竜狩りの騎士よ」

「汝に我が王の加護と、火の導きを」




竜狩りと呼ばれた守護者は立ち上がり、主の元から消え、再び大広間の中央に立った。
それを待っていたかのように、白く輝く柱の陰から、顔は愚か光さえ映さぬ黒い外套を纏った者が現れ、竜狩りに語りかけた。



黒い外套の者「竜狩りオーンスタインともあろう者が、たかが不死の数人を斬るのに何を焦っているのだ」



オーンスタイン「焦りは無い。不死のみに我が主の試練は荷が勝ち過ぎただけの事」



オーンスタイン「今はその方も法官の一人であろう。臣民の去りし都にあって、我が使命に口を出す意味も無いはず」

オーンスタイン「違を唱えるというのなら、この地を去るか、憐れな『抱かれ』をあの者達へと差し向けるがいい」



黒い影は竜狩りの言葉に身を震わせ、声を殺して笑った。
声には嘲りが含まれていることなど竜狩りは百も承知であったが、かつての王の下した取り決めがいかなるものであるかを知る彼に、黒い影を討つことなど出来はしなかった。
そう、ずっと遥か以前から…



黒い外套の者「クックックッ…貴様の口からこれほど大雑把なセリフが飛び出すとはな。ではそうさせてもらおう」

黒い外套の者「ただし、抱かれの騎士一人では少々心もとない」


黒い外套の者「そうだな……では『仮面』を呼ぶとしよう」



影は再び柱の白さに霞み、消えた。
竜狩りの騎士は高く飛び、大広間を見渡せる回廊状の二階に降り立つ。


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