325:名無しNIPPER[saga]
2017/12/13(水) 04:31:53.81 ID:47z60U5T0
コブラ「へへっ、神に雇われる悪魔ね。検察官からの引き渡しじゃあ満足出来なかったか!」
コブラ「来るなら来てみろっ!サタンの元へ送ってやるぜ!」
超常の者を相手にしているとは思えない口を叩き、コブラは戦闘態勢を保ってはいるが、それらの威嚇は己が戦える状態に無い事を相手に伝える行為であり、現に今のコブラに戦闘能力などは無かった。
ロードランの時は歪んでおり、街路の昼はいつまでも続き、森の夜もいつまでも続く。その影響を睡眠を必要としない不死たちは受けないが、コブラはそうではない。
コブラの腕時計は、この地に来た際に彼自身の手によって一度リセットされているが、その時計のカウンターが既に3日目を数えている。
ろくに休めず、おまけに栄養を失調しかけている肉体は、長旅でいくつも生傷を背負いつつも今までは持ちこたえていた。
その崩れかけた均衡を巨像の一撃が崩してしまった。
それ程までに、コブラの体内にある折れた肋骨は、決定的なダメージをコブラに刻みつけていた。
コブラ(とは言ったものの、やれやれ言うんじゃなかったぜ)
コブラ(剣を持ち上げてるだけで精一杯だ。今にも女の子みたいに気絶しちまいそうだ…)
そんなコブラの肉体の主張を、当然デーモン達も察知している。
火の時代の始まりから都に仕える者達。彼らは多くを両眼無き顔で見てきたのだから。
スッ…
一匹のデーモンが槍で空を突くと…
ブオッ!
残りのデーモン達はタルカスを抱えてはばたき、彼らは天高く聳える壁の如き山々を超えて、頂きを照らす陽光に消えていった。
それらを見送ると、残った一匹は槍を下ろし、その刃先をタルカスがいた岩の床に向ける。
そして飛び立ち、彼らと同じく、山を超えて姿を消した。
レディ「これは…」
コブラ「フゥー……まぁた意味深な事をしてくれるぜ。果たしてコイツは罠か、招待か」
ビアトリス「神に仕えるとてやはりデーモン。殺してソウルを奪うだけかもしれない。神の都にすんなり招くなど…」
コブラ「ありえない、か」
下ろした大剣の柄頭に顎を乗せ、コブラは考え込んだが、心の内に既に答えはあった。
芸術を知ることは文化を知る事であり、文化を知ることは宗教を知る事に繋がる。
神話そのものの世界において確信を持つほどの材料など持てるべくも無いが、宇宙において数千もの崇拝対象を知るコブラにとって、神と呼ばれる者達の趣味趣向に尊大な共通項を見出す事など容易だった。
人の眼前に恵みと試練があるならば、大いなる者は、人に対して同時にそれらを課してくる。その権利を持つからだ。
ジークマイヤー「おーい!ビッグハット老が目を覚ましたぞ!」
コブラが答えを口にする前に、ローガンを連れたジークマイヤーがコブラ達に合流した。
ローガンからエストを分け与えられたのか、カタリナ騎士の足取りは軽かった。
コブラ「遅いぜ爺さん。良い夢でも見てたか?」
ローガン「いやはや面目無い…高き啓蒙に触れると、どうにも思考の海原に沈んでしまいおるのでな」
ビアトリス「で、では既に智慧を纏められたと…?」
ローガン「それは違う。あの思索を完成させるには足りない物が多過ぎるゆえ、今は考えないだけだ。私が話すのはここで起きたデーモンの飛翔についてだ」
コブラ「………」
ローガン「これは罠であり招きでもある。試練はこの砦のみで終わるわけでは無い」
ローガン「そして恐らく、これらが真の試練という訳でも無い。不死が何かを成すのではなく、神々が不死らに何かを成させたいのだ」
ローガン「しかし、そうなると疑念が燻る」
ローガン「かの者達が何故、星界からの使者たるコブラに、不死の試練を課したのかという燻りだ」
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