312:名無しNIPPER[saga]
2017/11/30(木) 00:17:06.80 ID:xz1EoYSY0
黒い鉄の塊が飛翔した。
その塊は永きに渡って塔に立ち、選ばれた不死の英雄の到来を待っていた。
鉄の巨像を打ち倒す為に、力を貸してくれるであろう不死の到来を。
そして時は合一し、機会は訪れた。
塔に向かって伸びた一本の鋼線を、彼は自身に巻きつけた。
奇抜な衣装を身にまとう男の、常軌を逸した行動の意図を読み取ったのだ。
時間という狂気に半ば蝕まれ、故に育った狂気的行動への共感力が、鉄塊にそうさせたのだった。
ブオオオーーッ!!!
巨像に向かって飛翔する鉄塊は、身の丈ほどもある大鉄剣を空中で振り上げ…
「ウオオオオオオォーーーーッ!!!!」
飛翔の速度に己の剣勢を乗せ、アイアンゴーレムの頭に激突した。
ドゴオオォーーーン!!!
大鉄剣は巨像の頭部に深々と減り込み、剣の先端は巨像の後頭部から貫通した。
アイアンゴーレムは上半身を大きく仰け反らせ、バランスを崩し…
ズドオォーーン!!
転倒して、灰色の砂埃を巻き上げた。
ビアトリス「今度はなんだ!?今のは!?」
レディ「人に見えたわ……アレは一体…」
ジークマイヤー「おーい!今のはなんだーっ!?何か見たかーっ!?」
レディ「彼も見たって事は、少なくとも幻じゃ無いわね。魔法?」
ビアトリス「こんな破壊力のある魔法、私は知らないよ…」
困惑する不死達が見守る中、濛々と立ち上る砂埃から出てきたコブラは、服をポンポンと叩いた。
コブラ「ふー助かったー…イチかバチかだったが、なんとかなったみたいだな」
レディ「コブラ、これはどういう事?貴方は大丈夫なの?」
コブラ「外れた肩はさっき嵌めた。で、アイツについては、一度掴み上げられた時に見かけてね…」
巻き上げられた砂埃は風に流され、薄まり、巨像の全体像を一行の前に晒す。
巨像は頭部に穿たれた穴からソウルを立ち上らせ、巨像の上に立つ鉄塊を撫でた。
コブラ「助太刀してもらう事にした」
黒鉄のタルカス「オオオーーーッ!!」ドグォーーーッ!!!
巨大な盾と巨大な剣を持ち、漆黒の大鎧に身を固めた騎士はまさに鉄塊の如くであり、振るった特大剣がアイアンゴーレムを叩くと、巨像の脚は跳ね、衝撃は巨像の背中を伝わってジークマイヤーの足までも震わせた。
そんな芸当はコブラにさえも不可能なものであり、賭けにコブラは勝利したのだった。
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