298:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 15:53:46.08 ID:p05zDUDs0
安全な場所はどこにもない。だが、その場にこそ求めるものはある。
果ての無い試練であれば、尚のことそうであって欲しいという願望は強まり、願望は足を進ませる。
敵が姿を現した、階段の先にさえ。
コブラ「それっ!」ブーン!
バルデルの騎士「グエッ!」ドカーッ!!
階段の先は袋小路だったが、そこにはもう一人騎士が潜んでいた。
しかし敵と相対した時の反射神経でコブラに適うはずも無く、騎士は咄嗟に構えた盾ごと特大剣で叩き斬られ、地に伏した。
そして自身の後ろにあった宝箱を一行の前に晒し、コブラは箱を開けた。
コブラ「そうだよ!これだよこれ!やっぱり宝箱にはこういうのが入ってなくちゃあなッ!」
ようやく求めたもの『らしさ』を備えた一品を拝めたコブラは、小躍りした。
その指輪は炎のように紅い宝石を讃え、石は鋭い輝きを綺麗にカットされた一辺一辺から発していた。
ビアトリス「炎宝石の指輪か……良いものを見つけたな」
コブラ「炎宝石?」
ジークマイヤー「炎宝石は炎を弾く石だ。騎士達の宝石とも呼ばれている」
コブラ「へえー…あんた意外と石に詳しいんだな。ここに来る前はヤンチャしてたクチかい?」
ジークマイヤー「はっはっは!宝石と聞いてヤンチャが浮かぶとはな」
ジークマイヤー「だが、あいにくそういう訳では無い。魔法の戦指輪を知ることは騎士たる者の嗜み。いや、義務なのだ。鎧も剣も盾も騎士の友であり、指輪も同じなのだ」
コブラ「ふーん…騎士の戦指輪ね。炎を弾くって事は、コイツを着けてりゃ火の海も歩けるのか?」
ジークマイヤー「流石にそこまでの力は無い。燈台の火を握っても軽い火傷で済むぐらいにするだけだ。溶岩なんて渡れば死体が残るだけだろうなぁ」
コブラ「よく分かった。死体が残るだけマシって思う事にするよ」
指輪を右手人差し指に嵌め、コブラは仲間と共に上を目指した。
皆鈍足なカタリナ騎士を気遣いつつも、階段を駆け、踊り場を駆け、石畳の上を駆ける。
行く手を阻む亡者はおらず、蛇人達も姿を見せない。だが表に出ないには、出ないだけの理由があった。
巨人「………」グオッ…
ただの大岩にしてはやけに丸い、砲丸と言って差し支えない大玉が、巨人によって掲げられた時、一行は脚を止め…
コブラ「戻れ!」
引き返した。そして一拍子遅れて…
ドオオオーーーン!!!
不死達が元いた場所は火の海に包まれた。
落とされ砕けた大玉は、炎と黒煙をあたりにぶち撒けた。
確かに指輪一つで凌げるようには見えないと、コブラは思った。
コブラ「無茶しやがるぜ。あいつこの城を壊す気だぞ」フフッ
ビアトリス「あの距離では私の魔法も届かない…打つ手無し、か…」
レディ「いいえ、あるにはあるわ。でも代償が要る」
コブラ「そこなんだよなー…誰か魂貸してくんない?弾丸でもいいけど」
ビアトリス「弾丸…?」
ジークマイヤー「いや、なんとかなるだろう」
ビアトリス「へ?」
ジークマイヤー「このカタリナ騎士、ジークマイヤーに秘策あり」フッ
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