155:名無しNIPPER[saga]
2016/10/20(木) 15:02:07.28 ID:CU0PADL90
かつてぬかるみは無く、大空間が下水の一機構として機能していた時代、最下層からの汚泥を排水した石造りの大管があった。
管と最下層を繋ぐ道は今や塞がれ、後には管として機能した、石造りの個室だけが残っている。
その一室をある種の聖女が選び、のちの不死のため、そこに篝火を置いた。
しかし、篝火を囲むのは何も不死だけではないという事を、その聖女は予期していなかった。
ラレンティウス「不死になれたと知った時は、いっそ嬉しかった。これで原初の火を求めることが出来ると。それは呪術を知る者なら一度は夢に見る、憧れみたいなものでさ」
ラレンティウス「だから、あのお方に会えた時は天にも昇るような気持ちになった……なったんだが…」
ラレンティウス「思いもしなかったよ…まさか火に触れるどころか、俺には見ることも出来ないなんて…」
レディ「どんな物かも分からない物を求めるのって、そういう事よ。賭け事が好きじゃないなら、楽しいものじゃないわ」
ラレンティウス「…………」
ソラール「………」
グリッグス「…何というか、身につまされる言葉だな。私達のような探求者には厳しいかぎりだ」
レディ「あら、私達も探求者よ?専門は民俗学だけど」
戦士(変人は幸せ者だな。不死なんてただの終わりかけだぜ)
篝火を囲む四人の不死と一人のサイボーグは、紹介も兼ねた休憩を取っていた。
篝火の熱は暖かく心地良いが、その恩恵から外れたところ、湿った石に囲まれた円柱状の広いくぼみの中に、コブラと黒ずくめの女はいた。
コブラは壁に背をつけ腕を組み、女はコブラの立つ壁とは反対の壁元に立っている。
コブラ「やっぱり美人と二人っきりっていうのは心が躍るね。お互い黙っていても楽しくて仕方がない」
黒いローブの女「面白い皮肉だな。活気があった時代でも聞かなかったよ」
コブラ「そりゃどうも。話は変わるが、あんたは時がどうとか言ってたな。それについて色々と聞きたい事があってね」
黒いローブの女「ああ、時の合一についてか」
コブラ「それだよそれ!俺はファンタジーには疎くてね。もっとわかりやすく話してくれないと頭が混乱するんだ」
黒いローブの女「面倒だな」
コブラ「そこを何とか」
黒いローブの女「………はぁ、仕方のない」
黒いローブの女「お前が今いるこの地は、古い神々が棲まう、ロードランという名で呼ばれる巨大な力場だ」
黒いローブの女「ロードランは多くの者を集めて試練を与えると共に、その者達をより多く集める為に、多くの隣り合った世界を生み出し、その間を行き来させる手段を用意した」
黒いローブの女「ここまではいいか?」
コブラ「不出来な生徒でスマンが、その隣の世界だの試練だのは誰が何のために作ったんだ?」
黒いローブの女「作ったのは我々であり、古い神々だ。何故試練を課すのかは、今は決して言えん。知る者みなに王の封印が掛かっている」
コブラ「王の封印…」
コブラ(王…まさか…!)
コブラの脳裏に炎の奔流が浮かぶ。
その中で聞いた声は、コブラに使命を刻み、この世界に送り出した。
その者の姿は無かったが、言葉は確かに聞き、そして覚えていた。
かの者は名を名乗った。
我が名は薪の王、と
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