134:名無しNIPPER[saga]
2016/10/15(土) 22:40:09.43 ID:0HWheuQZ0
ズドドドドォォン!!
そして奇跡は起きた。
竜が着地するはずだった地点の石畳が、何故か前触れなく崩落した。
無論、死に物狂いのソラールはその事に気付かない。
上体を起こして跳躍した竜も、体勢的に真下が見えないため、やはり気づけない。
戦士とグリッグスは、生きてはいるが伸びており、ラレンティウスも石畳の上でぐったりしている。
ドサッ!
太陽の戦士が石畳に腹を打ち付けた時、大空間は静かだった。
ソラール「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
ソラール「ん?……なんだ?…」
その静寂は、半狂乱だったソラールの精神を一瞬で現世に引き戻した。
腹ばいのまま辺りを見渡すソラールの眼に、遠くで伸びている二人の男と、遠くで伸びている一人の男が映る。
天井の割れ目からは陽光が差し、その光を遮る巨大な物が見当たらない。
竜が見当たらない。
ソラール「…………」
ソラール「…俺は生きているのか?」
そう呟いた時、伸びていた三人は身体を起こし始めた。
全くの無音の中では、呟きすらも遠くまで反響するのだ。
戦士「…ああ…なんとかなぁ…」
グリッグス「いててっ…!」
戦士「悪いな…今起きる…」
グリッグス「まったく、骨が折れたぞ…」ハァ…
ラレンティウス「なんとか……なったか…?」
戦士「ああそう願いたいね……うぇっほ!吐きそうだ…」
そして、彼らの言葉の反響が、コブラの起こしたカタルシスをより決定的な物にした。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
ソラール「!?」
戦士「だあああああああああああ!?」
最下層の大空間は崩壊した。病み村を揺らした振動を発端にして。
石畳の全ては落盤し、四人の戦士は、竜と共に底の底まで落ちていった。
病み村まで続く、暗くて臭い大穴の中を。
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