124:名無しNIPPER[saga]
2016/10/15(土) 12:57:08.22 ID:0HWheuQZ0
ソラール「…………」
戦士「…………」
グリッグス「………」
ラレンティウス「………」
最下層をひたすら進み、大鼠や、呪い眼のバジリスクや、六つ眼の人さらいらを斬り伏せ辿り着いたのは、下水を処理するためにしては不自然すぎるほど広大な、石造りの空間だった。
天井には大きな割れ目が穿たれており、そこから差す陽光が汚物に濡れた石畳を照らし、床の三分の一を占める暗い穴を、より一層黒く浮かび上がらせている。
ズズ…
その穴から、小さな鰐が顔を出した。
ガラス玉のような無垢な瞳が周囲を見渡している。
ソラールら旅の一行は、決して気を緩めず、むしろ一際緊張していた。
ズドン!!
脂ぎった鱗に覆われた六本指の、人の家ほどもある巨大な一本足が、石畳を揺らす。
ズドン!!
二本目の大足が石畳を揺らすと、巨大な翼膜を持ったコウモリの翼が、影を広げ、ソラール達から陽光を奪った。
ドドン!! ドゴオン!!
更に四本の大足が石畳にめり込むと、翼は四枚に増え…
貪食ドラゴン「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
頭から下腹部まで開かれた大口が、百を超える曲刀の如き牙を覗かせた。
竜の体躯は山のようであり、体臭は水に溶けた骸のようだった。
ソラール「太陽よ!我らの背にあれ!」
太陽の戦士は三人の仲間と共に、巨竜に突撃する。
グリッグスは手に持った杖に魔力をたたえ、ラレンティウスの右手は真っ赤な炎に包まれた。
名を忘れた戦士も剣を構えて駆け出したが、剣より盾が前に出ていた。
ズバァン!!
竜は塔のように太く長い尻尾を振り回し、先頭にいたソラールを虫をはたくかのように吹き飛ばす。
太陽の戦士の盾は一撃で歪み、ソラールが空を飛ぶ姿は、戦士の眼に大砲から放たれた砲弾のように映った。
ドン! バスゥン!
グリッグスのソウルの矢は竜の口の中を傷つけるが、痛みなど竜は意に返さず、今度は前足でラレンティウスを掴み上げる。
ラレンティウス「うおおおおおおお!!」ボワァ!
闘志とも恐怖ともつかない混沌とした激情に突き動かされたラレンティウスは、大口に放り込まれる寸前、右手から火の玉を放った。
竜はソウルの矢に開けられた傷口を火炎に焼かれ、唸り声と共に、ラレンティウスを石畳に投げつけた。
ラレンティウスは背中をしたたかに打ち付けたが、糞便になって下水を永遠に流れる運命からは、かろうじて逃れることが出来た。
戦士は竜の足を幾度も斬りつけるが、出血はおろか鱗さえ剥がれない。
外皮が暑く、鱗は鉄のように硬いのだ。
ソラール「太陽おおおおおおお!!!」
口から血反吐を吹きながらソラールは立ち上がり、握ったタリスマンを掲げ、雷を槍状に束ねる。
それを見た竜の頭の中では、四つの餌が、四匹の敵へと変わっていた。
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