京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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9:スレ主 ◆EvBfxcIQ32
2016/08/22(月) 21:16:41.68 ID:B6wfBn3i0
「ロン」
「…………………え?」

 和の声に、京太郎が凍り付く。
 倒されたその役は……………
「国士無双。48000で私が逆転トップです」
「え…………は、え!? ちょ、まっ!」
 京太郎だけでなく、他の二人も和の捨て牌を覗き込む。
「うっそぉ…………」
「いや、のどちゃんこれはいくら何でも………」
「うそだろ…………」
 3人そろって、愕然とする。
 9つ中7つがヤオチューハイ。こんな河から、誰が国士を予想できるものか。
「ええ、あまりにもうまく行き過ぎました。私自身びっくりしてます」
 びっくり、というよりはにっこり笑って、
「え、あ…………」
「ありがとうございました」
  無慈悲な結果を京太郎に突き付けた。
「は、はは…………」
 笑うしかない。
 胸の中を内側から引っ掻き回され、引き裂かれるような痛みを押し殺しながら、終局を迎える。
「はっはっはー! ざまーみろ! 犬の分際で出しゃばるから親の役満くらうんだじぇ!」
「ゆーき! 言い過ぎです。というか、部長を相手にしてるわけでもないのに、あんな待ちをあの河から読めという方が無茶です」
「は、ははは…………」
「実力で敵わないからって、こそこそ姑息に動き回ってた罰が当たったんだじぇ! ついでにタコスもってこいじぇ!」
「姑息って………」
 じゃあ、どうしろというのか。
 この怪物たちを相手に、真正面切って下りずにぎりぎりのところを攻め続けて、躱して上がりをとれとでもいうのだろうか。
 そんなこと、出来るはずがない。
 だから京太郎にできるのは、全神経を注いで彼女たちの待ちを躱して、とにかく振り込みを避けることだけだ。
 そして自分に運が傾いた時を逃さず、そこに全力を注ぐ。
 そんな戦い方しかできるはずがない。
 それを、卑怯だ姑息だなどとなじられたら。
(もう、何もできねえじゃねえかよ)



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