京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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249:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/09/18(日) 01:30:14.47 ID:m+tVvmfr0
「ご、ごめんなさ、い。京ちゃ………」


 ごしりとひときわ強く目許を拭った後、声の主を見やる。

 京太郎を部室に引っ張った後、隣で立っていた咲が、涙をボロボロこぼして泣いていた。


「ごめんなざい………! ぎょうぢゃん、ごめんなざぁい………!」


 両手の甲で涙を拭うが、止どめなく涙は落ちてくる。

 京太郎より、咲の方が大泣きしていていた。


「わ、わだしだぢ、ずっど、きょ、京ちゃんに、頼りっぱなしで、
 ぜ、全然お礼も言って無ぐって、任せっきりで、ひどいこと、ばっがりしで…………!」

「咲…………」

「きょ、京ちゃん、ずっと遅くまで起きてて、寝れなくて、先生にも叱られてたのに、皆京ちゃんのこと、馬鹿にしてたのに、でも、怒らないでたのに………!
 ずっど、わだしたちの、為に。がんばっでくれでだのに……!」

「咲、もう、いいから………」


 部内で唯一、京太郎の疲労や心労に気付きかけていた咲は、
 それを指摘できないままここまで京太郎を思い詰めさせてしまった自分を責めていた。


「ごめんなざい………! 部長から、京ちゃんが怒ってたって聞いて、あ、謝らなきゃって………!」

「咲………、いいから、泣かないでくれ………!」


 30センチも背の低い幼なじみが大泣きしてるのを見て、京太郎もつられてさらに涙があふれてくる。

 根が純粋な京太郎は、自分のせいで誰かが泣いているという事実に、心がどうしようもなく痛んだ。

 どれだけ酷いことをされたとしても、咲が自分のせいで傷ついていたら、これまでのことも忘れて、咲を心配してしまう。


「京ぢゃあああああん…………ごめんなざぁいいぃ………う、うあああああああぁん………!」


 京太郎が先の両肩に手を置くと、咲は京太郎の肩に縋りついて泣き声を上げた。



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