京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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21:スレ主 ◆EvBfxcIQ32
2016/08/22(月) 21:34:21.23 ID:B6wfBn3i0
「……………」
 俺は無言のまま、咲にメールを送った

『大丈夫、ここまで来たら傘あってもなくても変わらねーよ。自力で帰れる。
 店であったかい飲み物買っといて正解だったわ。明日風邪ひいても怒らないでくれよ(笑)』

 送信……………。送信完了のメッセージが出る。
 足元を見ると、確かに俺のカバンが置かれていた。
 俺は壁に背を預け、そのままずるずるとその場に腰を下ろした。
 鞄を抱えて、ぼやけた緑色に染まった天井を仰ぐ。
「俺…………何やってんだろ」
 自然と涙が出てきた。
 拭う気にもなれず、無表情のまま涙がボロボロと溢れて止まらない。
 別に皆に怒っているわけではない。なんだかもう、悲しいというよりは、疲れてしまったのだ。
 誰が悪いとかではなく…………単純に、疲れてしまった。
 今日のこの後のことを考える。
(まずは…………家に帰って風呂に入ろう。温まったら、明日の授業の提出物、2つとも終わらせて…………まだ整理しきれてない牌譜整理して……また麻雀やって………)
「………………やだなぁ」
 ぽつりと、涙声でそんなつぶやきが漏れた。
 さっきのおじさんの言っていたことが思い出される。
『兄ちゃん…………お前、自分で自分に胸を張れるか?』
「ぜんぜん…………張れねえや」
 白く煙る息に交じって、俺の嗚咽が響いた。
 鼻をすすって、ひくつく喉が泣き声を漏らす。そのまま15分くらい、廊下で一人泣いていた。
 幸か不幸かその泣き声は、誰にも聞かれることはなかった。


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