京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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17:スレ主 ◆EvBfxcIQ32
2016/08/22(月) 21:29:51.64 ID:B6wfBn3i0
「おい、にいちゃん……」
「え、あ、あ、はいっ!?」
 いきなり声をかけられ、背を伸ばして答えてしまう。
「ほら、お前の番だぜ」
「あ、は、はい」
 既にその人は会計を終わらせ、懐からライターを出しつつ、買った煙草を手に出て行ってしまった。
 俺は横目でずっとその人のことを追いつつ、会計が済むと店先に駆け足で向かった。
 その人はまだすぐそこにいて、店先でタバコを吸って空を眺めていた。
 俺は何と話しかけたらいいのかわからず、とりあえず不自然でない程度に傍に行き、買ったばかりのコーンスープを口にした。
「…………煙って(けぶって)いるなぁ、兄ちゃん」
「え?」
 向こうから声をかけられてギクリとした。
 その人は煙草をくわえたまま、俺を見据えていた。
 煙っている。空模様のことかと思い、俺は月も見えない空に目をやった。
「くくく………空でもなきゃ、煙草でもねぇよ。兄ちゃんが、煙っているのさ」
「え?」
 いきなりわけのわからないことを言われて、俺は何と言えばいいのかわからなかった。
「みりゃあわかる。俺は兄ちゃんの抱えてる事情なんざ知らねえが…………、兄ちゃんが今煙っちまっていて、自分を見失っていることくらい。自分が何をしたいのか、悩んでいるんじゃないのか?」
「え……………」
 心の中を見透かしたようなその発言に、俺は愕然とした。
 なぜ、そんなことが。



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