京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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◆EvBfxcIQ32
2016/08/22(月) 21:18:47.91 ID:B6wfBn3i0
長野県、清澄高校。
今や国民的競技になった麻雀のインターハイ、その団体戦で、初出場ながらに全国ベスト4の記録を残し、その名は一躍有名になった、
大会の終わった12月の今でも、ひっきりなしに取材の依頼が来る。大会終了直後ほどでもないが、週に1回は取材の申し込みが来る。
が、下手に部活の練習時間を削りたくはないので、出来る限り断っている。主に麻雀部唯一の男子部員こと俺、須賀京太郎がその対応をする。
相手も素直に引き下がってはくれないから、断るのには毎回骨が折れる。今日は学校の職員室で、20分も粘ってきた雑誌の編集部からの電話を断らなければならなかった。
先生たちの気の毒そうな視線を受け取りつつ、精も根も尽き果て職員室を後にする。
肩を回し、首をゴキゴキ鳴らして体をほぐす。
体中を血が巡るが、体の倦怠感は去ることはなかった。ここ最近寝不足なのだ。
毎日麻雀部で牌譜を記録し、それを家に帰ってからもいつでも使えるように、PCソフトで整理整頓する作業が残っている。
もちろん俺は一般的な高校生なので、日々の授業で出される課題もやらなければならない。
ここまでならまだ何とかなるが、その後自分でも無理をしていると分かっているが、自分のための麻雀の練習をようやく開始できるのだ。
部員たちの牌譜を見ているだけで、特にデジタルの天使と呼ばれる和の牌譜は勉強になる。
あくまで神がかり的な運などは考慮に入れず、理詰めの麻雀を得意とするからだ。突き詰めれば、一般人でも到達可能な領域ではある。
かといって、見ているだけでは勉強の効果も半減だ。和の打ち方を念頭に置きつつ、深夜のネット麻雀で自分なりの打ち筋といったものを確立しようと頑張る。
そうやって特には成長した実感を得られないまま、このところ疲れがずっと抜けないのだった。
「ふあぁ………」
あくびをかみ殺しながら、部室に向かう。すでに部活は始まっている。急がねばならないのだが、今一気乗りがしない。
少しでも目に見える成長の片鱗でもあれば気持ちも楽なのだが、それは叶わなかった。
むしろ頑張って努力するようになってから、以前より成長している実感が薄れた気がする。
そういうことを気にするのは、それだけ麻雀に対して真剣になれたのだという捉え方もできるが、結果が伴わなければ当人の心持ちなど只の自己満足にすぎないはりぼてだ。
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