13:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 09:08:29.62 ID:z/+VcU0Mo
「……お風呂、いってきます」
「ああ、うん、すまないな、引き止めて」
「いえ……その、翔鶴姉も、ありがと」
「………ううん、気にしないでいいのよ」
目は、合わせてくれなかった。
…別に、提督が降りてきたのは、私のせいじゃあないのに。心の中でそうふてくされて、背を向けた。
けれど―彼が降りてきてくれた事自体は、嬉しく思ってしまう自分がいる。
つまるところ、色々と複雑なのだ。
提督の気持ちも、翔鶴姉の気持ちも知っていて。
その上で、自分の気持ちも知っている。
わかってはいる。それが厄介なものだってくらい。
「そりゃ…わかっては、いるんだけどー…さぁ」
捨てた方がいいことだって、わかってはいる。
「……でも」
この気持ちの一番厄介なところは、きっと、幸せになってしまうことなのだろう。
想っているだけで幸せで、心が満たされて、世界が輝いて見えて。
…捨てられないから、捨てたくないから、さっきみたいにふとした拍子に『それ』が顔を覗かせる。
「…次の出撃は、いつになるんだろ」
ただひたすらに、何も考えず、彼の指示通りに戦っていたい。
そうすれば、きっとこうして心が痛むこともないのに。
二人は―今頃、何を話しているのだろうか。
一瞬だけそんな考えがよぎって、すぐに投げ捨てた。
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