提督「川内がバイクに乗り始めたのだが」
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7: ◆v5iNaFrKLk[saga]
2016/06/28(火) 20:53:15.16 ID:IOWq3u0T0

深海棲艦の出現以降、都心湾岸線の様子は変わったらしい。

年中無休で眩しかったレジャー施設は営業を自粛し、夜ともなれば道路沿いに設置された水銀灯が僅かに灯るだけ。

場所によっては、立ち入り禁止区域まで設けてある。

24時間止まることなく流れ続けていた交通の運河も年々目減りしていき、今では物流を支えるトラックが疎らに走る程度。

昔からこの場所に通っていた人によると、まるで開通直後のようだと話していた。

すっかり人気の無くなったこのベイエリアは、今の私にとって格好の遊び場になっている。
かつてのような賑わいも灯りも無い、虚像のような街並みはちょっと寂しい気もするけど。

まあ、静かな夜は嫌いじゃない。

誰も居ないこの道を、自由に滑走する。
こんなにも気持ちの良いことがあったなんて、知らなかった。

より大きくスロットルを開けると、途端にレブカウンターの針が跳ね上がる。

夕張曰くだいぶ古い型みたいだけど、そんなことは全く気にはならない。
もっとも、この子以外を知らないけど。

速度は増していき、すでに200キロ近い。

この領域まで来ると、景色が飛んでいく。
光が集約して線となり、鳥のように過ぎ去っていく感じ。

むしろ、今の私が風になっている?
なんてねっ。

もっと知らない景色を見させてよ。
夜は、まだまだ長いんだからさ?



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