176: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2017/05/29(月) 22:00:41.15 ID:mG4WGedqo
●ぜつぼう
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俺「……………え?」
俺「おい…嘘だろ?これで全部か?これっぽっちか?」
全てを知って…全てを理解して………無の核の言葉の意味を理解した。
全てを知ってしまうと言う事は、ありとあらゆる可能性を掌握してしまうと言う事で…
全てを掌握してしまえば、必然的に…そこには一切の不測が存在しなくなる。
俺「他にもまだ…まだ何か……別の未来が………」
そう、それはつまり…一切の未知を失ってしまうと言う事。
全てがロジックに基づいて始まって終わり、予定調和のまま全てが終わる。
そこに………希望なんて物は存在しない。
最後に知覚したのは、無価値と化した達成感と…埋めようの無い喪失感だけ。
未来の可能性は無限大だとか、そんな言葉は滑稽な詭弁に過ぎない。
始まりがあれば終わりがあるという言葉のように…世界は有限で、そこから生まれる可能性にも限界値が存在する。
運命に反逆したつもりで、幾ら自分の意思で未来をねじ曲げようとも…所詮それも予定調和。
自分の意思で掴み取った未来さえも、結局は予め想定されていた断片の一つに過ぎない。
自分が知覚しうる全ての可能性を網羅し、新たな可能性を求めてより上位の階層に上ろうとも…
結果は同じ。
希望を求め…希望を消費し尽し……残されたのは、絶望だけ。
この選択に…この行動に一体何の意味があるのだろうか?
こんな無駄な事に意味は無い…いくらハッピーエンドを迎えても、それはただの決められた結末の一つに過ぎない。
全てが無駄な足掻き…
その結論に辿り着いた時………俺は一つの間違いに気付いた。
俺「そうか……より上に上にって登ってたつもりだったんだが…本当は……上に向かって落ちてたんだな」
不可逆の上位存在化……
希望は手に入らないからこそ希望であり、手に入れてしまえば希望では無くなってしまう。
そして…一度手に入れてしまえば、それを希望に戻す事は出来ない。
戻ろうとしても戻る事は出来ず…そもそも、戻る事に意味を求める事さえも出来なくなった。
俺は…そのまま、絶望の深淵へと墜ちて――――
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