八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「またね」
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◆iX3BLKpVR6
[saga]
2017/08/09(水) 03:01:36.19 ID:rz2WyN+/0
まるで先生と生徒のようなそのやり取りに、思わず笑ってしまう。
辺りを見てみると、アイドルたちが皆一様に掃除へと勤しんでいる。雑巾がけしている子もいれば、掃除機をかける子に、棚の整理をしている子も。
普段であれば、業者の人たちがやっている仕事ではあるけど、今日は別。それも……
社長『この会社も設立して随分と経つ……たまには、社員皆で奇麗にして労おうじゃないか』
という社長の発言から、こういう事になってるというわけ。確かに、この事務所にはいつもお世話になってるし、良いことだよね。
きらり「こらー! 杏ちゃん! サボってないで、ちゃんとお掃除しないとダメだにぃ!」
杏「うぇー充分きれいじゃーん、もう終わりでよくなーい?」
……まぁ、一部めんどくさがってる子もいるけど。
凛「……けど、そっか」
ふと、事務所の一角へと視線を向ける。
事務スペースにある一つの机。今は誰も使っていない、何の道具も資料も置いていない、どこか空虚さすら感じる、何の変哲もない机。
今は丁度ちひろさんが掃除をしている所だ。その今は使われていない机を、丁寧に拭いている。
けど、なんでだろう。こうして皆で掃除をする時じゃなくても、ああしてちひろさんがあの机を掃除している光景を、よく目にするような気がするのは。
……たぶん、気のせいなんかじゃないんだろうな。
凛「ん……」
不意に、緩やかな風が頬をなでた。
視線を向けてみると、誰かが開けたんだろう。カーテンを揺らしながら、窓が開けている。
その切り取られた青い空を眺めていると、どうしても、あの約束を思い出してしまう。
いつも隣にいてくれた、あの少年との約束。
凛「……あれから、もうそんなに経つんだね」
いつもいた筈の彼は、今はいない。そしてそれが当たり前になってしまった。
そんな風景が、”いつも通り”になってしまった。
これは、
彼がプロデューサーを辞めて、一年程たったある日の出来事。
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