キスショット「これも、また、戯言か」
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232:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:33:01.99 ID:znhwGlXXo

 ドラマツルギーは、ぼくを揺さぶって何を仕掛けようといている? いや、違う。仕掛ける

必要はないはずなのだ。ドラマツルギーは圧倒的に格上なのだから。

「退治しに来たわけじゃない……私はお前を勧誘したいと思っているのだ」

「勧誘……」

 そうだ、本来なら必要のない呼びかけ。対話。つまり、この時点でぼくはすでに最初の目的を

完遂しているということか? すでにドラマツルギーは、ぼくを警戒する相手である。策を

弄す必要のある相手だと。

「私のことはある程度ハートアンダーブレードから聞いているのだろう? 私たちは、吸血鬼で

ありながら吸血鬼退治を生業としている」

「それでぼくも、というわけですか」

 これは……少々まずいかもしれない。ドラマツルギーが、ぼくのなにを警戒しているのか

わからない以上、戦闘中にドラマツルギーの意表を突けたところで、その驚きや、畏怖と

いったものは薄れる。それどころか、その警戒点から外れた行動をとってしまえば、失望されかねない。

やはり遅るるに足らない相手だと、そう判ぜられかねない。そうなってしまえば、詰みだ。

正気を取り戻したドラマツルギーに勝つ方法はなくなるだろう。

「ああ、初対面で襲い掛かったのはエピソードとギロチンカッターがいたからな。あの二人の前で

このような誘いをかけるわけにはいかなかったのだ。あの二人は私怨や心情があるからな。

しかし、私からすれば、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの眷属、
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
いや、お前は稀有な存在だ――殺すに惜しい。主人からの支配も薄いようであるし、仲間になるのには相応しい」

「まあ、わかりました」

 ここが正念場かもしれない。ここだ。この受け答えを間違えることがそのまま生死を分ける。

 そう思いぼくはどう返答すべきか困っていたが、ドラマツルギーは「いや、お前はわかっていない」

と、話をつづけた。



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