124:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 17:19:43.72 ID:I+fdqcufo
ともかく、とキスショットは話を戻す。
「人間に戻りたい――と言うより、元のままでありたいと思ううぬの気持ちはわかるのじゃ。
そう言い出すと思っておったわ。『ようこそ、夜の世界へ』と言ったものの、うぬがその
ままでいたがるとは思っておらんかったよ」
「そうか――それで、結局どうなの? ぼくは――」
「……戻れるよ」
キスショットは、少し声を低くして、言った。
射貫くような、権高な視線で、ぼくを見つめる。
「戻れる。保証するよ。儂の名にかけての」
「…………」
その冷たい声は、どこか悲しみをはらんでいるようにも思えた。
「勿論……従僕よ。そのためには、ちょっとばかり儂の言うことを聞いてもらわねばならぬ
のじゃがな。従僕たるうぬに命令を下すに遠慮する必要などないのじゃが―― 一応、
命令ではなく脅迫と言うことにしておいてやろう。人間に戻りたくば――儂に従え、とな」
そしてやはり――彼女は、凄惨に笑った。
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