モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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84: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 20:18:37.66 ID:glNSs2qCo

「だから……もう、ヒーローは、いいんです。

私は、まずみんなに、自分の、ホントウの気持ちを伝えなくちゃ、いけないんですから。

『ここに居たい』って。『この場所に私も混ぜてほしい』って、ただそれだけを」

「今更……いまさら、そんなことを……!!!」

 『アナスタシア』は泣きそうな顔になりながらも激昂する。
 機械のような少女はもうそこにはいない。
 一つの欲求を形にして、それを見据える一人の少女を『アナスタシア』は前にして、たまらなく、耐えられない。

 まるで自分が置いて行かれたような、私の方が人間だと、私の方が純潔だと思っていたのに、いつの間にか自分が劣っているかのように思えて。
 そのあまりにありふれた『願い』のかたちが、自らが絶望の果てに紡いだ『願い』に迫るものであるかのような感覚が。

「そんなことで……そんな程度の願いで、ワタシを……止めるの!?

ワタシの絶望を……その程度で、踏みにじるというの!?」

「……ダー、あなたが抱いた願いだって、わからなくないです。

だって私も、パパやママが生きていたらって思うこと、あります。

あの時……やり直せたらっていうことは、いくつもあります」

 アーニャだって、『アナスタシア』の願いは理解できている。
 一度はその願いを受け入れたし、そう考えたこともなかったわけではない。

「だけど……私は、今のこの場所が、好きなんです。

昔の、私の故郷を選べば、今のこの場所は確実になくなります。

私の願ったこの場所は、きっと消えてしまいます。

……なら私は、今を選ぶ。この代えられない、欠けることのない、みんなのこの場所が、いいんです」

 未練がないわけではなかった。
 だがそれでも、そんな悲惨な過去だとしても、それがあるから今がある。
 確かに幸せではなかったかもしれないけれど、その結果から成り立つこの場所は、今のアーニャには決して代えられないものだった。



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