モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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430: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2017/12/31(日) 10:15:07.55 ID:L6tcVsPXO
 ネオトーキョーの冬は寒い。
 ほんの数年前、彼がまだ現役アイドルヒーローだった頃、この新興経済特区は今以上に環境への配慮が足りず、地球温暖化に多大な貢献をしてきた。
 あるいは企業も夢や希望、野心にあふれ、人々の熱気がネオトーキョーそのものを過熱させてさえいた。では、今は?
 ネオトーキョーの経済成長は当時より緩やかだ。そして良識ある企業は寒い冬を取り戻すべく、一部の暗黒メガコーポによる環境破壊を上回るペースで環境再生を進める。
 ネオトーキョーの冬は寒い。
 漆黒ヒーロースーツの上にフォーマルなビジネス用ジャケットを着用し、さらに防寒防風コートを纏うエボニーコロモは、黒子ヒーローマスクで顔まで防寒である。
 それでも彼が寒さを振り払えずにいるのは、誰かの温もりをこそ求めているとでもいうのか。……バカな。黒衣Pは転がってきた空き缶を蹴り飛ばした。

「……どう言い訳すりゃいいんだよ……畜生」

 今日は緊急出動が重なり、エボニーコロモと二人のアイドルヒーローはそれぞれ単独で現場を担う“三面作戦”を実行した。彼の戦場はホテル・グランド・ゴウカ。
 毒ガス自殺テロを企むイカレ宗教団体に一時は占拠された、地上500メートルの最上階展望レストラン。黒衣Pの作戦行動は迅速であり、被害は出なかった……そのはずだ。
 にもかかわらず、レストランは今日から年末年始の休業を決めた。黒衣Pの半年前からの予約もキャンセルされた。彼の心には寒さだけが残った。


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