モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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370: ◆zvY2y1UzWw[sage saga]
2016/11/29(火) 00:17:07.70 ID:Jh+eG2pi0
昼子「…ユズならばこの魔力や邪気を更に詳細を調べてくれるのだろうが…」

いつも忙しそうにしている従者は昨日から会えていない。二人は無意識に彼女のプレゼントである腕輪を見つめていた。

人間の錬金術士が作成したという、それぞれユニコーンとペガサスが描かれた一対の腕輪…ユズのプレゼントだ。

マジックアイテムではあるものの、この腕輪は戦闘用という事ではなく、何かの目的があって作られたものではない。

それと共に思い出す。魔法使いだ。魔力を持つ人間達が、魔力を持たない人間から隠れつつも生活に馴染ませるように発展した、攻撃性の薄い魔法。

魔族の生み出したものである魔術という概念にとらわれていたが、少し冷静に考えると、魔力の形は無限であった。

昼子「…魔力は使い手によっても姿を変える…あの邪気は……まさか…いやそんな馬鹿なことが…」

蘭子「どうしたの、何か思い当たることがあった?」

昼子「…思い出したのだ。魔族とはまた別の、旧き神々に連なる者達の秘術…封じられし禁術。魔力の形の一つとして、そういった物もこの世にはあった、とユズから習った記憶がある」

学んだ時…それはただの言い伝えの類だった。魔術の歴史を学ぶ中での小ネタ、遥か昔に消えてしまったもの。そういった扱い。

しかし、今のこの人間の世界は混沌とした世界。ほぼ絶滅したはずの竜族も潜み、人間にとってその「言い伝え」であったものが溢れた世界。

「ありえない」は有り得ない。昼子は数ヶ月の時を人間界で過ごすうちにそれを学んでいた。

昼子「『秘術』だ。何者かによって生み出されし旧き魔道書に記された、魔術の原型…。しかし、そのうちいくつかの魔道書は名だけは伝わっているものの、全て実物どころか写しすら存在するのか不明なのだそうだ」

昼子「原型と言われてはいるものの、記録には残っていない…故に魔族である我らから見ても実在するかどうかは眉唾であった」

ユズから教わっていた事を思い出しながら昼子は秘術について説明を続ける。

昼子「魔族唯一の閲覧者とされる初代魔王の伝承によれば、記されし文字や言語も魔界や人間界のものとは異なると言うが…我が半身ならその能力で読み取れるかもしれんな」

蘭子「それはちょっと気になるけど…でもどうして今の学園の嫌な気配と繋がるの?」

昼子「…これは可能性の話だ。実際に邪気の根源を突き止めぬことには始まらん」

蘭子「えっ!?」

昼子「フフフ…危険だ、と言いたいか?我らは以前よりも力を増した、わざわざ気配を避け、怯える弱者ではない!」

鞄から黒いローブを取り出しほくそ笑む。

蘭子「そ、それ…用意してたんだぁ…」

昼子「我はいかなる時も魔王サタンの娘であるからな、何かあった時の為の黒衣を用意するのは当然であろう」

蘭子「…なるほど?」

何かあった時、とは何なのか。それは精神年齢が人間換算で14歳の悪姫にしかわからない。


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