モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:45:13.95 ID:nZ3oq+wSo
奈緒が焦がれるものはあの日の幸せであるならば、当然ウルティマにとってのそれも同じである。
奈緒にとっての幸せの基準がそれであり、記憶から忘れようとその価値観は決して一度も揺らいだことはなかった。
いつもはこの風景は夢で見るだけで、奈緒自身に情報を持ってくることはできなかった。
だがあくまでこの風景は『他人』のものだ。その9月、自身の誕生日を示す手がかりによって記憶がよみがえることは何ら不思議ではない。
奈緒にとっての答え、ならばウルティマにとっても同じ答えだ。
ゆえに、奈緒は最後の一歩を踏みしめる。
「奈緒ちゃん!」
ウルティマはいつの間にか眼前まで迫ってきていた差し伸べられた手に、ようやく我に返る。
依然濁った視線で奈緒を貫くが、そこにははっきりとした意思があった。
『おねえ、ちゃん?どうしたの?』
「一緒に、外に出よう!」
『だから……『そと』ってどこ?おねえちゃんは、やっぱりあたしをおいてどっかにいっちゃうの?
そんなの……そんなのは』
奈緒の言っている意味が分からないウルティマは、悲痛な声を上げる。
せっかく独りぼっちじゃなくなったのに、また孤独になるのではないかという恐怖に怯えていた。
だが奈緒はそんな不安そうな少女に向けて、ゆっくりとほほ笑んだ。
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