モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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303: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:16:54.69 ID:nZ3oq+wSo

「……多分、この階に」

 ――この結界の主がいる。
 そう考えたAPは5階の階段踊り場に着地し、そのまま能力によるフロート移動で足音を立てないように本部5階へと入った。
 元々は、通いなれた職場であったが、今は何者が潜んでいるかわからない伏魔殿だ。
 そういった意味でAPは警戒を解かぬまま、無人となったオフィス内を進む。

 同盟本部は巨大なビルである。
 当然階層を上がる手段は単一ではなく、複数のエレベーターがあらゆる場所にある。
 その中でも、APが上がってきた非常階段の脇にあるエレベーターは一番隅であり、それと対極をなすようにもう一セット非常階段とエレベーターが備わっている。
 エレベーター前は、ベンチと自動販売機が備えられており休憩スペースとなっているためある程度の広さがあった。

「……子供?」

 そのAPが上がってきた非常階段と対を成す場所に存在する休憩スペース。
 真ん中のベンチに一人小さく座る少女の姿が見える。
 この5階は結界に覆われていないために、すでに避難は完了しており閑散としている。
 そのような状況の中で、この場に場違いのように存在する少女は怯えたような眼をしながら周囲を警戒していた。
 もしも短絡的な思考の持ち主ならば逃げ遅れ取り残された少女だと考える者もいるだろう。
 だが冷静に考えて、このビルのオフィススペースにヒーローでもないただの少女がいるはずがないし、皆が避難している中で一人だけベンチに座って怯えているだけなど鈍くさいで片づけるには無理がある。

「……即ち、敵」

 普通のヒーローならば、怯えた瞳をする少女に問答無用で攻撃を仕掛けるなどということはしないだろう。
 だがここにいるのは同盟トップのTPに忠誠を誓った番犬であり猟犬だ。
 容貌が如何様であろうと手加減をする心など持ち合わせていない。

「……ならば排除、のみ――!」



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