モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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298: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:13:59.09 ID:nZ3oq+wSo

『オナカ……スイタノヨ。

コンナニ、クルシクテ……コンナニ、カナシクテ……キタナイ、アタシヲ、ミナイデ。

スイタノ、スイタノ、オナカ、スイタノスイタノスイタノスイタノオオおおおおおお!!』

 あの『カース』の黒い泥は、その醜く、卑しく、貧相な自らの姿を隠すための物だったのだろう。
 だがその外装はきらりによってすべて剥され、隠すべき姿は白日の下にさらされた。
 故に、『カース』にとっては今更何も躊躇うことはなかった。見た者は全て食らって、『自分』にしてしまえばいいのだから。

 これまで姿を隠すために纏っていた泥の外套はもはや必要ない。
 『カース』の足元からは黒い水溜りが広がっていき、その表面が波打つ。
 そこから飛び出したのは2体の獣。どちらも漆黒の泥で構成されているがその体躯は紛れもない肉食獣のしなやかさを持つ。

「く、くそっ!」

 『カース』の慟哭によって奈緒の意識は引き戻されるが、以前脳内は混乱したままだ。
 そこに真下から這い出てきた2体の獣は奈緒の両腕に食らいつき、首を動かして追い払うように投げ飛ばした。

「ぐっ、がっ、ああああ!」

 奈緒はなされるがままにはじき返され、床に何回かバウンドしながら吹き飛ばされた。
 全身を打ち付けたせいで痛みはするが、重症までは負っていないのでゆっくりと立ち上がる。

「なんで……いや、なんなんだ、よ」

 だが心のほうはそうもいかない。
 ぼんやりとした直感は戦闘の緊張で忘れられていたが、事実を突きつけられれば動揺は生じる。
 ビルの外から吹き込んだ風は粉塵を一掃し、隠れていた『カース』の姿を現した。



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