モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 01:57:52.66 ID:nZ3oq+wSo
あたしの視界に広がるのは、遊園地の風景。
だがそれらはすべて影に塗りつぶされ、シルエットしか映さない。
いや、『目』が見えるのだ。
コーヒーカップが、模造の白馬が、空席のジェットコースターが、進まない海賊船が、静止した観覧車が。
みんなが見てる。あたしを見ている。数えられないほどの瞳が、視線が、一点にあたしを見ている。
『ずっと私たちが、見てる』
『いつまでも僕らは、見てる』
『『だから、奈緒だけで、幸せになんてさせない。かわいい奈緒、かわいそうななお、あたしたちはずっと一緒だよ』』
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沈黙のアラームが示すのは、午前6時の時刻。
眠気目の瞳に映るのはいつもの起床時間より早く、あたしにとってはたまにあることだった。
「いやな……夢だな」
よくはわからないけど、たまにそんな感じがする。
寝覚めの悪い、悪夢を見たという漠然とした感覚。
内容は思い出せないけれど、直前に見ていた夢が悪夢だったという自覚だけはあって最近になってそういうことがたまにあるのだった。
だけど内容も思い出せないし、思い出せないということは大したことではないのだろうとあたしはいつも思考を切り替えていた。
「……はぁ」
これ以上は眠る気分にもならないし、あたしはゆっくりとベッドから這い降りる。
寝覚めのいいほうではないあたしが、誰よりも早く起きるのが思い出せない悪夢を見る時だった。
そして今になって気が付くんだが、悪夢を見るのは決まって、いいことのあった日の夜なのだ。
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