モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/05/07(土) 18:15:37.67 ID:glNSs2qCo
その離れていく背は、向かい風によってさらに遠い。
このベンチから動く気はないというのに、自然とアーニャは追いたくなる。
その背中に憧れてなどいなかった。だが、追いつきたくなるような、そんな気分。
(その先は……きっと)
自分は置いて行かれる者だ。すでに脚を止めてしまい、ここで終わりを待つだけだったのに。
その先が、自分と同じ空っぽだと考えると、それはそれで怖くなる。
だからこそ、すこしだけ、無意識のうちに考えてしまうのだ。
空っぽで、新たな選択なんてないのだけれど、自分の中にあったのかもしれない結晶を、誰かのものではない自分だけのものを、探しているのだ。
隊長の姿が見えなくなるとともに、その風も止む。
見下げていたアーニャの視線は、無意識に少しだけ上向き、公園の中を見渡すように前を見ていた。
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