モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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203: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/08/03(水) 22:38:19.10 ID:vTRpaymho
 幾台のカメラに囲まれたこの小さな部屋の中心で男は一人、どことない視線を向ける。

 見つめるその先は野望の果てか、欲望の追及か。
 否、彼の先にあるのは破滅であった。

 だがその破滅は彼が数百年にも渡り抱き続けた指針である。
 彼女がそれを望むから、自らもそれを望もうと抱き続けた呪いにも似た願望。
 初めは淡い思いであっても、人の寿命をも超える長き時に晒されれば歪みは生じてしまう。

 だがその願いに歪みが生じていようがいまいが彼は止まれない。そして仮にそれを自覚したとしても止まらないだろう。
 彼自身の望みのために、彼女の望みを叶えること。
 そのために、彼にとってこの数百年は存在したのだ。

「『あの日』以来この世界は様変わりした」

 その部屋には男一人だけだが、カメラの向こうには多くの者がその様子を見ていた。
 これから始まるのは男の独白ではなく、数多の同志、はたまたただ利害の一致した協力者に向けた宣誓である。

「異能は日常と化し、秘匿は水泡に帰し、交わるはずのないものは入り乱れる。

世界は混迷し、誰もが未知の互いを受け入れることに必死だった。

天変地異さえ、ラグナロクでさえ、カタストロフさえ起きても不思議ではない運命のあの日以降。

幸か不幸か、この世界は未だに滅びず、歪な均衡を保ったまま存在している。

水に落とした水彩の色が混じることなく、互いにせめぎ合って共存しているようなものだ」



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