9: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/02/24(水) 23:43:11.92 ID:CXQiijtko
ヨノワールがゆっくりとこちらを向く。
敵意はもとより、怯えも卑屈さも今は見られない。
その大きな目玉に、怖気を震うような輝きはもうなかった。
ミュウツー(いや、ひょっとすると……)
ミュウツー(はじめから、そんなものはなかったのか)
得体の知れなさは、見る者が勝手に見出していただけ、なのだろうか。
そう思えるほど、今のヨノワールは『普通』にしている。
ミュウツー『あいつらが、変わったのだとして……』
ミュウツー『それは、あいつらが努力した成果ではないのか』
ヨノワール「どりょく……?」
ミュウツー『さっき言った、ニンゲンの本を使ったやつのことだ』
ミュウツー『本を読んでみたり、聞かされたり、字を書いたり』
ミュウツー『ニンゲンがするような、「勉強」というものだ』
ヨノワール『わかります』
ミュウツー『以前は、そんなことをしていなかったはずだ』
ミュウツー『だから変わったように感じるのではないのか』
ミュウツーの返事に、ヨノワールは少し考えるしぐさを見せた。
こちらの言う意味が伝わらなかったのだろうか。
そういえば、とミュウツーは思う。
ヨノワールとのコミュニケーションで、不自由を感じたことは特にない。
だが、実際のところ、どこまで『わかっている』のか、よくは知らない。
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