69: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:54:51.64 ID:WHcPEpPlo
夢を見た。
いや、『夢を見ている』。
いやな夢だ。
とても不愉快で、いやな夢だ。
夢であったことに気づくのは、いつも目覚めてからだ。
それまでは、自分でも夢ではないかと疑うことさえない。
ところが今回に限って、私は既に理解していた。
望んでいたとも言える。
夢の中にあってなお、これが現実ではないことを。
これが夢であることを。
こんな光景は、現実であってほしくなかった。
まわりは真っ白だった。
前もうしろも、左も右も区別がない。
地面のような何かに脚が触れているから、かろうじて上下はわかる。
いつもの夢と同じで、ふわふわして思うように動けない。
生暖かく、やけに密度の高い空気に包まれている。
何をしようにも、もたもたと重い。
身体もいうことを聞かない。
だがこれは夢なのだから、しかたない、と自分で理解している。
さきほどからずっと、場違いに笑う声が聞こえている。
聞き覚えのない声だ、と思う。
下品な残響に顔を顰める。
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