67: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:51:58.00 ID:WHcPEpPlo
ジュプトルはこの汚れかたに馴染みがある。
このチョロネコが、最近どのような生活をしていたのか。
どのような環境を味わってきたのか、なんとなく想像できた。
路地裏を徘徊し、思うように雨風を凌げない環境に長くいたのだろう。
安心や安全とは縁も薄く、常に緊張を強いられてきたかもしれない。
かつての自分と同じように。
ジュプトルは同情を禁じえない。
チョロネコはイーブイのすぐ隣に立ち止まり、おどおどした目つきで辺りを見回した。
警戒を解く気配はなく、尻尾は攻撃的に逆立ち、ふくらんでいる。
見覚えのあるポケモンだった。
ジュプトル「もりの そと、おなじ やつ、いるな」
イーブイ「うん」
ふたりのやりとりを聞いて、チョロネコが首を振った。
慌てふためいて、みゃあみゃあと喚き、必死に何かを訴えている。
残念なことに、理解できる者はこの場にいない。
もっとも、同族がいると聞いてこの反応だ。
なんとなく予想はつく。
ジュプトルは下を向いて嘆いた。
イーブイもまた、いかにも困った顔で溜め息をついている。
このチョロネコもまた、自分たちと大差ない道を辿ったのだろう。
とても残念な話ではあるが、ある意味では手慣れた事態でもある。
することはいつもと変わらない。
いつもと同じように対応するだけのことだ。
ジュプトル「なあ、ダ……」
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