48: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/03/21(月) 11:55:32.39 ID:d1B0J0ZHo
彼は深い溜め息をつき、こめかみのあたりをこすっている。
呆れられているらしいことだけは、いやというほどわかった。
ジュプトルにしてみれば、溜め息をつかれても困るのだが。
ダゲキ「……ずるいなあ」
そう愚痴を漏らしながらも、ジュプトルの頭を撫で始めてくれた。
頭から背中にかけて、あまり経験のない圧迫感が覆い被さる。
重くて暖かい。
ジュプトルは、ダゲキの膝と手で挟まれている格好になった。
ジュプトル「だ、だって、おぼえてない」
ダゲキ「じゃあ、いいや」
撫でる動作は少し乱暴だ。
だが、むしろその雑な感触に安心感さえ覚える。
ジュプトル「……うん」
ジュプトルはごろごろと喉を鳴らして、されるに任せた。
黙って撫でられていると、不思議と眠気が戻ってくるような気がする。
目を細めて、ジュプトルは小刻みに唸る。
過去の自分は、なぜこんなによいものを拒絶したのだろうか。
相手を引っ掻いてまで。
結局、いくら考えても、思い出すことはできなかった。
どちらかといえば。
どれほど望んでも、最後まで人間から得られなかったものなのに。
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