450: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/12/09(土) 22:30:35.13 ID:PVvYiWSbo
静かに閉まった引き戸。
スモークガラスの向こうに、今もまだカツラの姿が見える。
ほんの少し動きを止めたあと、カツラは出口の方に動き出した。
部屋の中の人間たちは、その姿をなんとなく目で追う。
硬い足音が遠ざかっていく。
場から音が減っていく。
分厚い窓ガラスの向こうから聞こえる、うっすらと夏の喧騒だけが残っている。
誰も口を開こうとしない。
彼の気配がすっかり消えたあと、アロエは肩を落として長い長い溜息をついた。
さきほどまでとはうって変わって、げっそりしている。
レンジャーにはそれが、『子を連れた母親』が不審者と対峙し終わったあとの姿に見えた。
アロエ「……ごめんね、みっともないとこ見せて」
アロエは軽く肩を竦めてから、レンジャーに手を振った。
ようやく緊張が解けたという表情だ。
攻撃的な雰囲気もすっかり消えている。
レンジャー「いえ、私はいいんですけど、その……大丈夫ですか」
アロエ「大丈夫は大丈夫なんだけど」
アロエ「……あたし、やっぱり冷静じゃなくなってた?」
アデク「昔のお前さんよりはましだ、大したこたぁない」
アロエ「やだなあ」
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