392: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/08/29(火) 23:03:10.26 ID:Bxagxrqso
だから私は、彼に言い返したのだ。
『今更、そんなこと尋くんですか』。
『師匠は強いですよ』。
『現にこうして、オレは師匠にろくに勝てない』。
『だからオレは師匠に弟子入りしたんです』。
『それに、この地方では誰よりも強いから、師匠はチャンピオンなんじゃないですか』。
半ばやけっぱちだった。
ところが、師匠は合点がいった顔で唸った。
???『なるほど、そうだったか』
叱られるか呆れられると思っていただけに、少し予想外だった。
顎を擦り、彼は私が投げつけた言葉を咀嚼していた。
しばらくして師匠は首をかしげ、ふたたび私を見た。
???『だがその強いってのは、つまりなんなんだ』
???『トレーナーを標榜する者のその属性のみに絞った話なら、ある意味で単純明快だな』
???『一定の方針に従った適切な育成計画を考案し、それに沿ってポケモンを育成できること』
???『そして、特定のルール下でポケモン同士を戦わせ、状況に応じて最適な指示を出せること』
???『そして、そういう立場の者同士の“試合”に勝てること』
???『「トレーナーとしての強さ」とは、いわば文字通りの調教師として、あるいは指揮官としての優秀さだ』
私はまた黙して師匠を見つめる。
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