372: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2023/08/01(火) 23:28:22.90 ID:9Ps6NfVqo
不意に背後から声をかけられた。
首を回すと、キダチが返却図書を何冊か抱えて立っている。
書架に戻すところだったようだ。
アロエは妙な後ろめたさを覚えた。
些細な隠しごとが露見しそうなときの、あの居心地の悪さに似ている。
実際には、書架の前に立っているところを夫に見られただけなのだが。
キダチ「……今、忙しいかな。あとでも大丈夫なんだけど」
アロエ「別に忙しかないけど、なんだい」
かろうじて笑顔を作る。
なぜこんなにやましい気持ちを覚えるのか、自分でも不思議だ。
キダチ「備品管理の人が、椅子一脚足りないって」
キダチ「背もたれがなくて座面が丸いやつ」
アロエは心臓が飛び出そうになった。
椅子。
いや違う。
正確には、スツールだ。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20