224: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:31:20.62 ID:xCyGumQ8O
黙って背中を撫でていると、ダゲキがのろのろと顔を上げた。
こちらを見上げる目には、驚きと困惑の色が濃い。
どうやら、徐々にだが元の状態に戻ってきているようだ。
手を握る力がわずかに弱まった。
アロエ「やあ」
アロエ「調子はどう?」
ダゲキはまばたきする。
アロエ「ちょっと寄り道しちゃったね」
アロエ「そろそろ、キミのお友達が心配しちゃうかもしれないね」
アロエ「みんなのところに戻ろうか」
事態を飲み込めていない顔でダゲキが頷いた。
どこか不安そうにあたりを見回している。
アロエ「大丈夫、大丈夫」
アロエ「さっきの部屋に戻れば、みんな待ってるよ」
彼の大きな目がアロエを見上げた。
『みんな待ってる』という部分に反応したように思う。
アロエ「きのみもまだたくさんあるから」
アロエ「戻って、お友達と一緒に食べよう」
アロエ「歩ける?」
今度は少しはっきりと頷いた。
ほっと息をつき、アロエは懐中電灯を進行方向に向ける。
移動する光を、またしてもダゲキは目で追っている。
ひとまず大丈夫そうだ。
アロエはそんな彼の手を引いて、ふたたび歩き始めた。
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