200: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2017/05/13(土) 23:40:56.88 ID:kt/KZChQO
アロエ「あの子は、どうもあたしたち人間には、姿を見られたくないって話だから」
アロエ「キミたちはみんな、それぞれに事情があるんだろうし、ね」
話しかけながら、人間の女はバスケットを彼に差し出した。
そしてダゲキに手の平を示し、頭を撫でるしぐさをしてみせる。
アロエ「キミは……“いいこいいこ”しても平気かな?」
二、三度まばたきしてから、ダゲキは小さく頷いた。
目の前に置かれたバスケットを両手で抱え、立ち上がる。
アロエはすかさず、中を覗き込む彼の頭を撫でる。
アロエ「じゃあ、お願いね」
アロエ「キミの好きそうな味のきのみも入ってるから」
アロエ「なんなら、あっちで一緒に食べてきてもいいよ」
ダゲキが重々しい動作で向きを変えた。
その背中をトン、とアロエが軽く押す。
なぜか少し申し訳なさそうな目でミュウツーを見上げ、ダゲキはのんびりと歩き始めた。
ミュウツーは意味もなく緊張を覚える。
本を持つ手に力が入るのが自分でもわかった。
アロエは背後からそれを見守り、満足そうに笑う。
はらはらする、という気持ちを初めて感じた瞬間だった。
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