2: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/02/24(水) 23:19:52.18 ID:CXQiijtko
見慣れた寝床がようやく見えてきた。
木肌は青白く、ぼんやりと光っている。
月明かりと、地面に落ちた淡い反射とを受けている。
暖かみのある色ではないのに、心のどこかでほっとした。
ミュウツー(これはこれで『愛しの我が家』……というわけか)
むろんこの場所に、かりそめの拠点という以外の意味はない。
ないつもりだ。
いつまでもここにいるわけではない。
ないつもりだ。
とはいえ。
今はあの寒々しい朽ちかけた場所に、ミュウツーは安心感を覚えた。
なにしろ、ここに来て以来ずっと寝所として使ってきた空間だ。
愛着を感じるのも、そう不自然なことではないかもしれない。
ミュウツー(今日は、とにかく一日が長かった)
ミュウツー(これでようやく眠れる……)
ミュウツー(……というわけでもないのが残念だな)
そう思っただけで、深く長い溜め息が自然と出ていた。
ダゲキ「つかれた?」
溜め息に気づいたのか、背後から声が飛んできた。
その声には、相変わらず顔色を窺うような響きがある。
今の溜め息や疲労は自分のせいだと思っているに違いない。
無理からぬことだとは思う。
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