136: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:23:09.23 ID:GKUQ56mXo
????「……あ、あのね!」
背後から、自分たちを控えめに呼び止める声が飛ぶ。
ミュウツーは努めて、のんびりした動作で振り返った。
引き止めたのがイーブイだということは、振り向くまでもなくわかっている。
目を向けたところで、その姿が肉眼ではよく見えないこともわかっていた。
森には、かすかに夕焼けの赤さが残るだけだ。
自分も含めた森の全てに、紺色の幕がうっすらと被さろうとしている。
すぐ近くにある友人たちの顔すらも、はっきりとは見えない。
そんな黄昏時の空間に、地味な色のポケモンはすっかり紛れていた。
こちらを見上げていることも、イーブイの眼球によぎる反射で、かろうじてわかるだけだ。
ミュウツー『なんだ?』
顔に当たった風は生温く、撫でられているようで不快だった。
イーブイ「……えっと……」
聞き返されてイーブイは言葉に詰まった。
自分から話しかけてきたにもかかわらず困っている。
イーブイの場合、表情よりも耳の動きが一番よく感情を表している。
ミュウツーはその姿に、ジュプトルの騒々しい嘆きを思い出していた。
近頃は寒く、夜も早く暗くなってしまうから『眠くなる』と、しきりに憤慨するのだ。
要は周囲の気温が身体的活発さに反映される“たち”であるらしい。
そんなふうに機嫌が悪いとき、ジュプトルの頭部の葉はきりきりと揺れるのだ。
もっとも、気温と体調の関係については、あまりよくわからない。
ダゲキやヨノワールも、その話には首を傾げていたと記憶している。
ミュウツーも、言うほど気になった覚えはない。
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