102: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/07/02(土) 22:54:10.69 ID:g+YmgrcZo
ざくざくと葉を蹴散らす音が、地表近くから聞こえている。
重みすら感じる暑さのせいで、ダゲキの頭の働きは鈍っていた。
ジュプトル「……もう いいよねえ!」
地面に積み重なる若葉を睨みつけ、そのジュプトルが喚いた。
斜め上から聞こえたその声には、ぐったりと疲れた響きがある。
声のする方へ、ダゲキはのろのろと顔を向けた。
次に、太い枝にまたがったまま視線を動かす。
ジュプトルと同じように地面の『成果』を眺め、ダゲキはウウンと唸った。
コマタナ「あ゙……あ゙あ……」
うず高く積まれた葉の隅で、コマタナがもぞもぞ動いている。
山が崩れるそばから葉を拾い、また積み上げる。
理不尽に流れ落ちる葉の山に憤慨している。
指がなく物を掴めない手で、意外なほど頑張っているのがわかった。
コマタナなりに『参加』しようとした結果らしい。
あたりには、叩き落とした葉の青々とした匂いが漂っている。
全身にじわじわ染み入る熱気に、ダゲキもいい加減うんざりしたところだった。
といっても、今のダゲキは機敏に動けない。
元から高いところは苦手な上、暑さで動きも鈍っている。
ちょこまかと跳ね回り、葉のほとんどを落としたのはジュプトルだ。
だから、向こうが「もうやらない」と言うなら、有無を言わさず終了なのだった。
『枝ごと叩き折れ』『木を倒せ』と命令される方が、まだ自分に向いている。
ダゲキ「うん」
答えを聞くが早いか、ジュプトルはさっさと枝から飛び降りてしまった。
地面から見上げていたコマタナが、慌てて飛び退く。
ダゲキはその危なげない動作をぼんやり見ている。
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