293: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/07/24(日) 22:20:06.92 ID:VQ8nvYN10
仁美「……っ!?」
一瞬……ほんの一瞬だが、仁美の目に、怯え、恐怖といった類いの感情が灯るのを、さやかは確かに見た。
仁美「さやかさん、あなたは……」
さやか「……」
仁美「……一体、何を抱えているんですの?」
……話すことは、できない。
さやか「ごめん」
仁美「っ……」
──先程の、仁美の言葉。
『恋心より優先すべきことなど、そうそうない』
つまり、それほどのことがさやかの身に降りかかっているということを、伝える必要があった。
仁美「……」
仁美が顔を伏せる。
内容を話さずに、ことの重大性のみを伝える。
難しいことではあったが、たぶんうまくいったはずだ。
本当なら、その重大性だけであっても、伝えるつもりはなかった。
さやかが何かに巻き込まれ、苦労しているということを知ってしまえば、仁美の性格からして、告白などできるはずがないからだ。
だがこうなってしまっては、仕方がない。
さやかがこれから先、表面上は何事もなかったかのように振る舞っていれば、そのうち安心して、恭介に想いを打ち明けることだろう。
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