283: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/06/24(金) 03:25:18.27 ID:3STh6K47O
さやかはそこまで言いかけて、あわてて口を閉じた。
これは、さやかが仁美に言うべきことではない。
だが、遅かった。
仁美「私が、何ですの?」
さやか「……」
あえて、さやかに言わせようとしている。
今度はさやかが観念する番だった。
さやか「……あたしが恭介に告白して、万が一にも受け入れられたところで、あたしは付き合えないんだよ。そんなのは恭介に悪いし、それで恭介が仁美を振ったりしたら、それこそ仁美にも悪いじゃん。そんなことになるくらいだったら、こんな想いは、伝えない方がいい」
仁美「……どうせ、そんなことだろうと思いましたわ」
さやか「……」
やはり、これは伝えるべきではなかった。
こんな話をされては、素直に仁美が恭介に告白するはずがない。
仁美がさやかに遠慮するなんてことは、望んでいなかった。
……いや、恐らく話すまでもなく、仁美はさやかの心情を理解していたのだろう。
だからこそ、それをわざとさやかに言わせるように仕向けたのだ。
仁美「さやかさんの気持ちはわかっているつもりです。だからこそ、私も同じ気持ちだということをわかってもらいたかったですわ」
さやか「……え?」
仁美「私も、自分が原因で、さやかさんに遠慮してもらうことは望んでいません。当然ではありませんの」
さやか「……わかってたよ。仁美ならそう言うと思ってた。だから、言いたくなかったのに……」
仁美「それこそ甘いですわね。私はそんなに鈍くありませんし、あなたはそれほど嘘が上手くはありませんわ」
さやか「……」
ぐうの音も出なかった。
ここまで見透かされては、覚悟を決めるしかなかった。
仁美「それで、企みが私にバレた今、さやかさんはどうするんですの?」
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