238: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/04/01(金) 20:19:33.83 ID:yJ7QJF/qO
***
杏子がさやかを訪れたのは、昨日のさやかの様子が気になったからだった。
まるで鬱憤を晴らすかのような戦い方であり、これまでの彼女とは明らかに違っていた。
なぜそうなったのかはわからないが、大体の想像はつく。
自分に失望したか、願いを否定してしまったか、あるいは信念が折れるような出来事があったのか……
かつての杏子と同じなら、そんなところだろう。
だからこそ、放ってはおけなかった。
さやか「……」
さやかは、すたすたと杏子の後を歩いている。
杏子(こいつ……)
やはりおかしい。
確定的だ。
普段と様子が違い過ぎる。
行き先も話さず歩いてるのに文句ひとつ言わず付いてくるなんて、これまでのさやかではあり得ない。
相手が杏子ならなおさらだ。
杏子「どうしたんだよ、元気ねーな。何かあったのか?」
さやか「……別に」
杏子「ったく」
聞いてはみたものの、その内容に興味があるわけではない。
重要なのは、さやかが正義の魔法少女として戦い続ける気があるかどうかだ。
杏子(もし、そうでなくなったのなら、もしかすると……)
うまく言いくるめることができれば、杏子の仲間にできるかもしれない。
そうすれば、これまでのような無茶もしなくなるだろう。
……と、まるでさやかのために行動を起こしたかのような言い方だが、杏子は、自分の本心に薄々気がついていた。
あまり認めたくはないが、どうやら自分は仲間を欲しているらしい。
あえて目を逸らしてはいたが、やはりどこかに寂しいという感情が残っていたようだ。
自分から別れたものの、マミと一緒に過ごした時間を忘れたわけではない。
杏子(……お前なら、こんなときどうしたんだろうな)
その答えは、もはや知りようがなかった。
460Res/310.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20