236: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/04/01(金) 20:09:19.19 ID:yJ7QJF/qO
***
次の日、さやかは学校を休んだ。
気分が悪い、頭痛がするなどと親に伝えると、あっさり納得してくれた。
仮病だが、あながち嘘というわけでもない。
さやかは、ベッドの上でぼんやりと天井を眺めていた。
今日の放課後、仁美は恭介に告白する。
恐らく、ふたりは付き合うことになるだろう。
恭介が断れば話は別だが、たぶんそれはない。
女のあたしから見ても、仁美は魅力的だ。
告白されて戸惑いはするかもしれないが、最終的には受け入れるはずだ。
……そのことを、あたしはどう思うんだろう。
さやか「……」
嫌に決まっている。
たとえ仁美であろうと、恭介が自分以外の女子と付き合うなんて、想像したくもなかった。
しかし、それならば学校を休むべきではない。
受け入れてもらえるかどうかはともかく、さやかには告白する以外の選択肢はないはずだ。
なのに、さやかはベッドから起き上がる気にもならなかった。
自分の本心を知ってしまったからだ。
こんな自分が恭介と付き合うなんて、許されるはずがない。
そう思ってしまった。
かと言って、そう簡単に諦められるはずもない。
堂々と仁美に『あたしは恭介のことを好きではない』などと言えれば格好も付くだろうが、それもできなかった。
結果、相反する感情がさやかの中で攻めぎ合い、どちらの行動もとれなくなっていたのだ。
結局さやかは、学校を欠席することを選んだ。
もう、自分の手の届かないところで物事を勝手に進めてもらって、自分ではどうにもならない状況にしてほしかった。
具体的には、さっさと仁美に告白してもらって、恭介と付き合ってほしい、なんてことを薄々考えていたのだ。
さやか(……あたし、最低だな。結局あたしは、自分の本当の気持ちと向き合えなかったんだ)
さやかは、こんな選択しかできなかった自分を、嫌悪していた。
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