勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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26:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:55:56.83 ID:zBP9Ql630
勇者「呪文・大雷撃ッ!!!!」

 再び天から放たれ、地面を打つ神の一撃。
 しかしそこに既に騎士の姿は無い。

騎士「不意打ちじゃなきゃ、もうそんなもん食らわねーよ」

 声のした方を振り向く。
 騎士は目にも止まらぬ速度でいつの間にやらたっぷり十メートル以上も移動し、雷から身を躱していた。

騎士「さっきの一撃で俺を仕留められなかったのは痛かったな、勇者。もうこの雷は俺には通じねえ。お前達は、真っ向から俺に立ち向かい、勝利しなくちゃならなくなったわけだ」

 勇者はごくりと唾を飲む。
 出来るのか? そんなことが。
 現に今、騎士の動きを目で追う事すら出来なかったというのに?

戦士「臆するな。気合を入れろ、勇者」

 戦士が勇者の背に手を添えた。

戦士「出来るかどうかじゃない。やらなきゃならないんだ。この戦いに世界の命運がかかっていることを忘れるな」

 武道家が拳を打ち鳴らす。

武道家「こんな状況なんて、もう慣れっこだろう? 俺達は弱くて、いつだって格上の相手ばかりしてきた。なら、今回もいつも通りやるだけさ」

 僧侶が勇者の傷を癒して言った。

僧侶「そうです、勇者様。私達なら勝てます。―――ご指示を。私は貴方を信じています」

 勇者は頷いた。

勇者「そうだな。何度も何度も思ってきたことだった。どうして俺はすぐ忘れちまうんだろう。馬鹿だよな、ホント」

 勇者は騎士を見据え、剣を構える。

勇者「―――やるしかないんだって、マジで」

 まるでその決断を祝福するように―――世界がパァ、と輝いた。





 魔大陸全土を覆う『宝術』が完成した。





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